デイサービスのレクリエーションの実施メリットやポイントとは?レクの種類やネタも紹介

schedule2022年8月9日 10時00分

「デイサービスで行うレクリエーションって?」
「デイサービスのレクリエーション支援のポイントは?」
「レクのネタが欲しい」

デイサービスなどの通所施設で、利用者様が活動するきっかけづくりとなるのがレクリエーション(以下、レク)でしょう。レクは利用者様の身体機能の維持・改善や健康維持の手助けになることはもちろん、居場所づくりや不安の解消にもつながる大切な取り組みです。

しかし、利用者様が参加したいと思うレクを企画するのは、簡単なことではありません。そこで今回は、介護施設のレクを実施するメリットやポイントを押さえつつ、レクの種類やネタになる具体例などを紹介します。

デイサービス(通所介護)のレクリエーションとは

レクリエーション(以下、レク)とは、単にその場、その時間だけを楽しませる余暇の時間ではありません。レクの語源は「Re;Creation(再び創造すること)」で、生きていくための元気を再び作り出す活動がレクリエーションの意義になります。

一般的に、デイサービスなど介護施設の利用者様が、ADL(日常生活動作)やIADL(判断力をともなう日常生活動作)を維持・向上を目指して、また、ほかの利用者様との交流などを目的に行なわれます。実施することで利用者様のQOLの向上を支援するレクは介護施設にとって、非常に重要な役割を果たすものといえるでしょう。

レクの内容や実施頻度は施設ごとに異なりますが、サービスの質に直結するものであるため、注力する必要があります。

デイサービスでレクを実施する3つのメリット

レクを実施することで、介護施設の利用者様はさまざまなメリットが得られるでしょう。本章では、レクを実施するおもなメリットを3つ紹介します。

メリット1. 利用者様の身体機能を維持・向上

レクを実施することで、利用者様の身体機能を維持・向上を目指すことが目的です。レクを実施することで、ADLやIADLの回復につながる場合があります。また、活動を通して他者との交流の機会が増え、生活にハリが出てくる効果も期待できるでしょう。

メリット2. 利用者様の脳を活性化する効果が期待できる

レクの中には、利用者様の脳を活性化する効果が期待できるものもあります。ゲームやクイズなどのレクは、利用者様が【考える】ことで脳のネットワークの活性化を促します。

例えば、回想法(昔の写真や音楽、家庭用品などを見たり、触れたりすることで、過去の経験や思い出を語りあう心理療法)を利用したコンテンツを活用すれば、過去の記憶を呼び起こすネットワークが刺激され、それにより心が安定したり、認知機能の改善が期待できるでしょう。また、折り紙や工作など、手を動かすレクを実施することも、手順を考えたりしながら行うので、利用者様の脳の活性化に期待ができます。

メリット3.利用者様同士が交流できる

利用者様同士が交流できるきっかけになることも、レクを実施するメリットのひとつです。レクを通じて利用者様同士のコミュニケーションが発生することで、社会の一員として生きがいを見出す支援が有効だといえるのではないでしょうか。
高齢者の社会的接点が減り、フレイルを予防するためにも、他人と関わる機会を増やすことは非常に重要です。また、レクに参加して他人や社会と接する機会を持つことで、利用者様のアイデンティティが保たれ、結果としてQOL(Quality of Life:生活の質、人生の質)の改善も期待できるでしょう。

デイサービスで行うレクの種類とネタ

介護施設で実施するレクはたくさんありますが、良く行われているのが次の4種類ではないでしょうか。

  • 体を動かすレク
  • 脳を活性化が期待できるレク
  • コミュニケーションを促すレク
  • 歌や音楽を活用したレク

本章では、それぞれの概要とレクリエーションのポイントを紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

体を動かすレク

身体を動かすレクは、サルコペニアやフレイルの予防を期待しながら、手軽に誰でも参加できる内容(プログラム)が多く、代謝を促すことで血流の循環を促し、むくみの改善などが期待されます。
体を動かすレクを3つ紹介します。

ラジオ体操

ラジオ体操は体を動かすレクの定番です。音楽にあわせ効率よく全身の運動ができるラジオ体操は、利用者様はもちろん、施設のスタッフも馴染みがあるので、スムーズに実施できます。また、ラジオ体操は座位でも実施できるようになっているので、多くの利用者様が参加できる点もうれしいところでしょう。

チューブ体操

チューブ体操とは、伸縮性のあるゴム製のチューブやバンドなどを活用して行う運動です。
セラバンドやレクトレバンドなど聞いたことがあるかも知れませんが、ゴムの色で強度が違うため、参加者にあわせ選ぶことができます。筋肉へ適度な負荷をかけることで筋力の維持・向上を目指し、体幹の安定性や姿勢保持の向上、呼吸機能の増強など、フレイルの改善が期待できます。

卓上ホッケー

卓上ホッケーとは、テーブルの四辺に着席しボールを打ち合うレクです。上肢を動かすことができればどなたでも参加できます。多人数で打ちあったり、対面式の対戦ゲームとしてもアレンジできたり、チーム戦や個人戦にしたりするなど、さまざまなかたちで楽しめます。

目でボールを追い、腕を使うことで身体機能の維持が期待できるでしょう。ボールの大きさを変えたり、数を増減させたりすることで、難易度も調整できます。

脳の活性化が期待できるレク

脳を活性化させるレクは、頭を使うだけではなく、心から楽しむことが大事だといわれています。脳のネットワークを活性化することで、新たな楽しみの発見や認知症の予防にもつながることが期待できるからです。
ここでは、脳を活性化するレクを3つ紹介します。

参考:頭脳向上研究会/頭脳向上研究会 HOME脳を鍛えるトレーニング|右脳・左脳&前頭葉強化法60

クイズ

クイズは脳を活性化するレクとして使いやすいコンテンツのひとつです。ことわざや昭和のイベント、事件など知識を問うクイズをはじめ、少しトンチを利かせたなぞなぞなども脳の活性化が期待できます。

クイズは難しく考えるのではなく、漢字や花の名前、地名などを題材にすると付随するエピソードも聞けるので場が盛り上がりやすいです。何より大切なことは、参加者のレベルを考慮して準備することです。

計算問題

計算ゲームも脳の活性化に適したレクといえます。買い物や時間など、利用者様の日常生活に関係の深い内容にすると、興味を持ってもらいやすくなるでしょう。
また、利用者様たちが昔使っていたそろばんを活用したり、プリントをファイリングすることで成果が見えので「やる気」「達成感」が高まりモチベーションアップにつながります。

Ki-gu-mi Lite

「ki-gu-mi Lite」とは、パーツを木版から外して組み立てる立体パズルです。立体の作品像を思い浮かべながら組むことで、指先の運動トレーニングと脳の活性化が期待できます。
木の素材を活かすこともできますが、色を塗ったり、マスキングテープ等でデコレーションをすることで、意思決定力の向上にもつなげられるでしょう。

コミュニケーションを促すレク

少人数から大人数まで活動にあわせたグループを作ることによって、利用者同士で交流できる機会を作ります。利用者様同士が交流することによって、活動が楽しみに変わり、生活にハリが出ることでQOLの向上につながる効果が期待できるでしょう。 コミュニケーションを促す定番のレクを紹介します。

トランプ

トランプを使ってババ抜きや、神経衰弱は定番のゲームです。

トランプは、ゲームによりカードの位置や種類を覚えるなど、短期記憶を活用する必要があります。また、相手の持つカードを予測することや、自分のカードを相手に悟られないよう心理的にも考える力に働きかけるツールになります。

ゲームのバリエーションも豊富で、ルールも単純なものが多いため、比較的実施しやすいレクといえるでしょう。

ホバーサッカー

ホバーサッカ―は空気の力で浮き上がり軽く蹴ると滑らかに動き出す商品です。サッカーはもちろん、的入れやピン倒しなど、個人戦、チーム戦などで活躍するアイテムです。座位を保てる方や軽い認知症、片麻痺の方でも参加でき、ゲームをしながら身体を動かせます。

お手玉

お手玉は、作るところからレクリエーションが始まります。もちろん購入しても良いです。昔ながらの数え歌にあわせて両手・片手でお手玉をなげたり、的あての投げ玉として使ったり、積みあけたお手玉に棒をたて倒さないようにお手玉を取ったりと、活用方法にも多様性があります。

歌や音楽を活用したレク

発声することで唾液の分泌を促し、口腔機能の維持・向上やストレスの解消、呼吸器の機能維持・向上など、さまざまな相乗効果が期待できる歌レクは、通所施設では定番のレクです。コロナ禍においては発声することが難しく、多くの施設ではリラクゼーションを目的に自然の音楽を流すなど、心を穏やかに過ごせるように選曲された音楽が活用されています。

歌や音楽を活用したレクを紹介するので、参考にしてみてください。

カラオケ

カラオケはレクの定番です。ストレス解消であったり、歌が好きだったり参加理由は様々ですが、健康にポジティブな効果が得やすい点が特徴といえるでしょう。

カラオケ大手のJOYSOUNDやDAMは、介護施設向けのカラオケサービスを展開しているので、本格的に実施したい場合は、問い合わせてみてはいかがでしょうか。

音楽ボランティア

ボランティアとして歌や楽器の演奏を披露している方々に、レクの一環としてコンサートを実施してもらうのもよいでしょう。事前の打ち合わせでは、利用者様が知っている楽曲を演目に含めてもらえるよう調整しておくと、当日盛り上がるのでおすすめです。
終了後はよかったところなどの感想を周りの方と共有する時間を作ってみて下さい。演奏を聴いたという記憶のインプットや、同じ時間を過ごしたことで仲間意識を高めたり、次回への楽しみにつなげたりするなどのサポートがあるとより良い効果が期待できます。

ハンドベル

ハントベルは振る振動で音が出ますが、机の上に置いてボタンを押すタイプもあり、こちらを使えば振る力がなくても音を鳴らすことができます。音当てクイズをしたり、役割を決めてメロディーや和音で演奏するなど達成感の高いレクの提案が可能です。

デイサービスでレクを実施する3つの注意点

介護施設でレクを実施する際には、利用者様の身体能力などを鑑みて、さまざまな点に注意しなくてはいけません。本章では特に注意するべき点を3つ紹介します。

注意点1.利用者様の安全に配慮すること

利用者様の安全に配慮することも、介護施設でレクを実施するときには絶対に守らなければならないポイントです。身体を動かすレクを行うだけでなく、事前に参加者の体調を確認しておくことが重要です。そして、必ずウォーミングアップを行いましょう。いきなり活動に入ると、体調が悪くなるリスクが高くなります。

参加する利用者様の身体能力などを考慮し、レベルにあったものを実施することも必須です。また、レクを実施する現場に、利用者様が転倒したりする障害物がないか必ず確認しておきましょう。

注意点2.レクの参加を無理強いしないこと

介護施設でレクを実施するときは、レクの参加を無理強いしないことが大切です。レクに参加したくない利用者様もいるので、参加の無理強いは禁物であることを認識しておかなくてはいけません。

無理に参加させることで、利用者様が自分の殻に閉じこもってしまうリスクがあります。事前に利用者同士のコミュニケーションを促進し、グループなどを作っておくと参加してもらいやすくなるでしょう。

注意点3.目的を明確にしたレクの企画すること

3つめの注意点は、目的を明確にしたレクを企画することです。ただ「手芸をする」「ゲームをする」のではなく【なんのために】という部分を明確にすることで、自分にできることがあるかもしれないと考え、行動するきっかけにつながります。

利用者様の心が動く企画ができれば、あとは背中をそっと押すだけです。そのためには、利用者様の能力や属性などを考慮することはもちろん、過去に行ったレクの効果測定などを実施することも大切でしょう。

レクに必要な準備と当日の流れ

当日、スムーズにレクを実施するためには、事前の準備が肝心です。一般的なレクの準備と実施日の流れについて解説します。

デイサービスでレクを実施するための準備

レクを実施する場合には、参加する利用者様の状況を個別に把握します。参加する利用者様の体調や身体機能のレベルや目的に合ったレクを準備することが大切です。また、当日勤務の職員に内容の周知をしておくことで、ハプニングにも柔軟な対応が可能になります。

そのうえで、レクを実施できる十分な広さがある会場を準備します。参加する人数や立位・座位のどちらで行うかによって、必要な会場の広さが異なるため慎重に検討しましょう。そして、当日レクがスムーズに実施できるよう、使用する小道具などは実施する前日までに準備しておくことがポイントです。

レク実施日の流れ

レクの開始時間が近づいたら、参加する利用者様を会場へ誘導します。このとき、事前に会場の設営を済ませておきましょう。

利用者様が全員会場に移動できたら、始まりのあいさつを行います。レクのスケジュールや内容、やり方ルールなどを解説し、利用者様に理解してもらえるよう努めましょう。ホワイトボードや利用者様から見える位置の壁に流れを書いておくのも工夫の一つですね。

レクを実施したら、最後に終わりの挨拶を行います。レクの振り返りや利用者様が活躍したポイントなどを、その場にいる方全員で共有したらレクの時間は終了です。

利用者様の楽しみにつながるレクを企画することが重要

介護施設で実施するレクは、利用者様のADLやIADLの改善につながるだけでなく、居場所づくりやストレス・不安を解消する効果も期待できます。本記事の内容を参考に、利用者様が毎回楽しみにしてくれるようなレクを企画してもらえれば何よりです。

通常業務で多忙の中、質の高いレクを企画・実施するのは、なかなか骨の折れる作業だといえるでしょう。そのような方におすすめのコンテンツが、スマート介護のレクネタ集です。

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監修:田代悦子 介護福祉士 レクリエーション介護士2級認定講師

スマート介護の商品・サービスの企画部門に所属
ヘルパー2級を取得後、新規デイサービスの立上げから介護に携わり、地域包括支援センターでは健康体操教室などを企画実施、実務者研修の講師等約10年間現場に携わった経験を活かし、現場の悩みに寄り添うサービス提案を行う。スマート介護が提供するレク企画書・レク動画に携わり、レクリエーション介護士2級講座の運営・講師を担う。 

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